107人が死亡し、562人が負傷した2005年のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、業務上過失致死傷の罪で強制起訴されたJR西日本の元会長井手正敬(いでまさたか)被告(82)ら歴代社長3人を無罪とした一、二審判決が確定する。最高裁第二小法廷(山本庸幸裁判長)は「被告らは事故現場の危険性を認識できなかった」と判断し、検察官役の指定弁護士の上告を棄却した。 12日付の決定で、4人の裁判官全員一致の意見。JR発足後、最多の死者を出した事故は、発生後12年で全ての刑事裁判が終結する。運転士は事故で死亡しており、刑事責任を負った人はいない。検察審査会の議決で強制起訴された業務上過失致死傷事件で無罪が確定するのは初めて。 強制起訴されていたのは他に、元会長の南谷昌二郎(なんやしょうじろう)被告(75)、元社長の垣内剛(かきうちたけし)被告(73)。起訴状では、事故現場のカーブを急な曲線に付け替えた199