突然降り始めた窓の外の雨を眺めていたら、編集者のケータイにテンテンコさんから電話が入った。この雨の中、道に迷ったという。ケータイから漏れる彼女の声は、いつかライブで聞いた嫌味のないアニメにでてくる女の子のような声だった。しばらくして、ふらふらと部屋に入ってきた彼女は、舞台で見るよりもずいぶん小さかった。私は改めて彼女を見ながら、あの感じを思い出した。 BiSの解散ライブで一番衝撃を受けたのは、「テンテンコは、事務所に所属せず、フリーランスで活動していく」と発表された時だったと思う。しかもすでに決定している直近のイベントには“DJテンテンコ”として出演するという。フリーランス? DJ? 私は彼女がひとりで険しい道を歩もうとしていることが不思議でならなかった。しかし同時に、それを実現することが可能な人だと感じたことを、不思議と全く雨に濡れていない彼女を見て思い出したのだ。 自分がどうしてフリー