「新人賞受賞作に出てくる女たちは皆、恋をしていなかった」。デビュー作にして芥川賞を受賞した話題作『ハンチバック』、群像新人文学賞受賞作『ジューンドロップ』『もぬけの考察』をはじめ、注目の新人賞作品が映す「今」そして「ここからの時代」を、気鋭のライター・清繭子氏が読み解く。 人類、恋とかやめたってよ さて、人類が恋をしなくなって随分経つ。一世代前はガールズトークといえば、恋バナ(死語)のことで、修学旅行時に好きな男子を発表しないと「心を開いてない」と周囲から見られるため、当たり障りのない男子を無理やり「気になる人」に仕立て上げたりしていた。恋人がいないと肩身の狭い思いをしたし、結婚していなければ何かと不自由なことも多かった。今もその風潮はやや残るものの、以前よりずっと恋愛圧力は弱まった。 恋愛からの離脱はここから先、さらに加速する――最近、文学新人賞を受賞した5つの作品を読みながらそう思った
![恋をしない彼女たちが語ること。『ハンチバック』『もぬけの考察』ほか、時代を映す新人賞受賞作5選(清 繭子)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1d7217c032d4d568e2109e3ee92c207878653571/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F3%2F6%2F1200m%2Fimg_36e1a85e81ce03298f4d8df81f3183a481172.jpg)