山手線某駅。 ドアが閉まる瞬間、女の子の叫び声が聞こえた。 乗客はそちらをみんな見る。 どうやら、女の子だけ車内に入った瞬間ドアが閉まり、母親は乗れなかったようだ。 ホームに立ち尽くす母親と、泣き叫ぶ女の子。 そのドア付近に座っていた、おばあちゃんが優しく「次で待ってればママ来るからねー」 私の席からは女の子が死角だったので、様子はうかがい知れなかったがどうやら直ぐに泣きやんだようだ。 彼女にとって、この数分間はとてつもない孤独な旅行であったろう。 次の駅。 電車が止まる前から車内の乗客たちは、女の子がちゃんと降りるのかなぁという気持ちで、女の子の方に目線を寄せていた。 すると、そのおばあちゃんが、わざわざ電車を降りてあげていた。 何の躊躇もなく。 横の人も思わず、「優しいねー」 雨が降って憂鬱なお昼だったが、ホッコリした。