日本のW杯史上、最も感動的な敗北 【金子達仁】2010年06月21日 カメルーン戦の勝利は、日本のW杯史上、最も醜い勝利だった。あの勝利を、わたしはまるで喜べなかった。あのサッカーを肯定してしまえば、日本サッカーの未来は大きく後退する。その思いは、いまでも変わらない。 だが、あの勝利に何か意味があったとすれば、それは選手たちが自信を手にできたことだった。代表チームの4連敗は、Jのクラブにたとえれば10連敗以上に相当する。どれほど素晴らしい選手を揃(そろ)えたチームであったとしても、これだけの連敗をすれば間違いなく壊れる。できていたことができなくなり、相手の何気ないワンプレーにもおびえるようになる。 それが、カメルーン戦前の日本だった。 しかし、勝ったことで、泣きたくなるほどひどい内容ではあったものの、とりあえず勝ったことで、選手たちは自信を取り戻すことができた。できていたのにできなくなっ