2022年11月23日付け朝日新聞(朝刊)は、「酪農 今のままでいいの?」と題して、飼料高騰に影響を受けない「山地酪農」に取り組んでいる農家(中洞正氏)へのインタビューと山地酪農に批判的な農業経済学者の意見を紹介した。さらに、12月1日の同紙(夕刊)は神奈川県西部で山地酪農に取り組んでいる女性酪農家の記事を掲載している。 農林水産省や農業団体の言っていることを批判なく伝えたり、輸入飼料の価格上昇で酪農経営が苦しいと述べるだけの報道が目立つ中で、出色の記事だった。日本の酪農や畜産のあるべき姿に関する判断材料を国民に提供したことを評価したい。 酪農家が使う2種類のエサ 山地酪農とは何かを説明する前に、前回の記事「酪農経営は本当に苦しいのか?」(2022年12月26日付)と重複するが、酪農家は2種類のエサを使っていることを説明したい。山地酪農と一般の酪農の大きな違いは、エサの違いと言ってもよいか