2008年12月末、東京・日比谷公園の一角に突如、巨大なテント村が姿を現わしました。 世界金融危機に端を発した景気後退で製造業を中心に多くの派遣社員が職を失い、社員寮からも追い出されてしまいました。彼らが路上で年を越すのは政府の責任だとして、NPO法人が厚生労働省の目の前に「年越し派遣村」を開設したのです。 これをきっかけに、マスメディアは派遣社員の過酷な労働環境を連日のように報道し、経済格差が大きな社会問題になっていきます。そこでの論調は、「派遣社員はかわいそうだから正社員にするべきだ」というものばかりでした。こうして、年功序列、終身雇用を理想とする“正社員神話”が蔓延していきます。 解雇がきびしく制限されている日本では、新卒で正社員として就職すれば定年までの約40年間「終身雇用」が保証されると考えられています。これは一見すると、労働者にとって法外に有利な契約です。だからこそ企業は派遣な