ニューヨーク・タイムズ紙のベテラン記者2人による新刊『An Ugly Truth(醜い真実)』は、2回の米国大統領選挙の間にフェイスブックに起きたことを巧みなストーリー・テリングで描いた意欲作だ。 by Karen Hao2021.08.20 161 56 8 あるフェイスブックのエンジニアは、デートの相手から返事をもらえない理由が知りたくてたまらなかった。もしかしたら、病気や休暇など、単純な理由だったのかもしれない。 だからある日の夜10時、このエンジニアは、カリフォルニア州メンローパークにある本社で、社内システムを使ってフェイスブックが保有する彼女の個人データを調べ始めた。政治観や生活様式、興味だけでなく、現在位置までも、だ。 後にこのエンジニアは、社内データの閲覧権を不適切に悪用した他の社員51人とともに、自らの行動によって会社を解雇されることになる。社内データの閲覧権は職務権限や勤