作家のポール・オースターは、小説『4321』(2017年刊、未邦訳)を書き終えたあと、19世紀のアメリカ人作家スティーヴン・クレインに出会い直し、クレインの評伝を執筆してきた。その理由からオースターの執筆スタイルまで、ユダヤ系メディア「フォワード」記者が聞いた。 ポール・オースターに、スティーヴン・クレインに惹かれた理由を尋ねたところ、パーソナルな言葉で答えてくれた。オースターはこの数年、クレインについての文学的な伝記を書いており『燃える少年──スティーヴン・クレインの生涯と作品』(未邦訳)を2021年10月に上梓したばかりだ。 「あなたは26歳だそうですね」と電話の向こうでオースターは言った。 「彼はいまのあなたよりあと2年長く生きただけです。そして、3000ページ以上の印刷物を出版しました」 そのとおりだ。私は3000ページの何かなど何も出版してはいない。 クレインは30歳を迎える前に