「母子疎開」という言葉をご存知だろうか。 福島第1原子力発電所の事故によって、今も放出され続けている放射性物質。その影響を少しでも回避するため、一時的に住まいを移す母子のことを指す。多くは、放射能汚染による健康被害に不安を覚える、関東・東北地方在住の幼い乳児を抱えた母親だ。 疎開先は、関西地方や北海道など、放射性物質の影響が比較的小さいといわれる地域。中には、欧州や米国に渡るケースもある。原発事故以降、母子疎開を受け入れる地方自治体やNPO(特定非営利活動法人)は増えており、インターネット上には、母子疎開を支援するサイトも複数立ち上がっている。 そうした動きの一端は、日経ビジネスの2011年6月13日号の「時事深層」でも紹介した。今回は、この母子疎開の取材を通じて感じた、「情報」に対する親たちの向き合い方について書いてみたい。 もはや新聞やテレビを“信じない”母親たち 今、原発や放射性物質