学校の帰り、駅から家まで歩いている時、私はそのオジさんに出会った。最初に背後上部で「バキッ」という音がして、その直後に「ゴッ!」と鈍い衝突音。振り向くとスーツを着たオジさんが倒れていた。オジさんの周りには枝やら葉っぱやら沢山落ちているところを見ると、どうやら木から落ちたらしい。スーツで木登りするなんて変態っぽいので、どうしようかと思ったが、唸って体を起こそうとしているので、近寄って声をかけてみた。 「大丈夫ですか?」 私の制服のスカートの中を見上げると、オジさんはキリッと立ち上がり、スーツの埃を叩いて、 「ええ、大丈夫ですとも!」 と、ぎこちない爽やかな笑顔で答えた。中肉中背、イケメンと言えなくもない顔だが、年齢は30半ばくらいに見える。十七歳なったばかりの私から見れば立派なオジさんだ。本当に大丈夫そうなので、私は軽く会釈をして去ろうとすると、オジさんは慌てて私を止める。 「ちょっとちょっ