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文章に関するono-winのブックマーク (43)

  • さようならアーティスト - OjohmbonX

    道端に吐かれたゲボ、階段に吐かれたゲボ、駅のホームに吐かれたゲボ、スクロールしていけばいくつもの、色とりどりのゲボの写真が流れていく。そんなブログがあった。何のコメントもプロフィールもなく、それがどこなのか、どんな意図で撮られたのか、いったい誰が撮っているのかもわからなかった。 ブログタイトルは「ゲボ」だった。 インターネットが広く開かれた空間だなどという言説は、まるで正しく、その正しさゆえにまるで無意味なのだ。例えばいつも通る道の脇にふいに空き地ができたとき、人はいったい今までそこに何が建っていたのか思い出せない。民家だったのだろうと思っても、かつての形も特徴も何も思い出せない。衆目にさらされた環境にあっても誰もが見過ごしてしまう。そんな民家に似たブログは世界中にいくらでもあって「ゲボ」もその一つだった。 2004年から開始され、当初月に1枚ほどのペースで写真はアップされていたが、200

    さようならアーティスト - OjohmbonX
  • つらいということ - やしお

    先々月に父が急死した。 もし親が死んでも自分は意外と平気でいられるんじゃないかと考えていた。何かを整理して考える力も大分ついてるし大丈夫かもしれないと侮っていたが実際はまるで平気ではなくて自分でも驚いた。体験を通さないと当には分からないことが確かにある。 12月14日(金)の昼前、母から「父と昨日から連絡がとれない」とメールが入った。両親は離婚して別々に住んではいたものの、連絡を取り合ったり会ったりもたまにしていた。 前日が僕の誕生日で、田舎から両親の名義でお菓子が届いていたから、二人宛にお礼のメールを出していた。いつもは電話をかけてくる父親から返事がなかったから変だなとは思っていた。 僕の誕生日のこともあり10日ぶりに母も父に連絡をとろうとしたようだが、メールの返事もなく、電話も「電源が入ってない」のメッセージばかりだという。それで警察と部屋を見に行ってくるという。 事故か、失踪か、病

    つらいということ - やしお
  • 剛力彩芽、その顔が天才だ! - 未来の蛮族

    私はこれまで、ただ自分のためにだけ、文章を書いてきた。他人のために文章を書いたことなど、一度もない。 ずっとそれでいいと思っていたし、今でも別に反省したというわけじゃない。 それでも、今回ばかりは特別だ。これから書く文章は、憤りによって書かれるべきものなのだが、私はこれを自分ひとりのものにはしたくないのだ。 これは義憤であり、公憤である。 何しろ、「剛力彩芽はブサイクだ」なんてふざけたことを口走る連中が大手を振って歩いているのが、今のインターネットなのだ。 誰かが何かを言わなければならない。 勘違いをして欲しくはないのだが、誰かのために書く、といっても、私は剛力さんのために書くわけじゃない。 彼女はそんなものは必要としないだろう。私は、剛力彩芽という革命にまだ気がつかないでいる、かわいそうなあなたがたのためにこそ、この文章を書きたいのだ。 memewデジタル写真集 剛力彩芽 Part1 作

    剛力彩芽、その顔が天才だ! - 未来の蛮族
  • はてなハイク サービス終了のお知らせ

    平素より「はてなハイク」をご利用いただき、ありがとうございます。 「お題でつながるミニブログ」としてご利用いただいていた「はてなハイク」は、2019年3月27日をもちまして、サービスの提供を終了させていただきました。 これまでご利用いただきましたユーザーの皆さまに深く感謝いたします。 誠にありがとうございました。 詳しくは下記をご覧ください。 http://labo.hatenastaff.com/entry/2018/11/19/113653 株式会社はてな

  • 鴨長明「方丈記」がとるしたたかな戦略 - やしお

    ふと思ったんだけど、「方丈記」ってPREP法みたいな構造になってるんだね。 Point(結論):世界とは無常です。うたかたです。 Reason(理由):実際、今まで大火事、竜巻、無謀な首都移転、飢饉、大地震と天災人災が続き、人は死に、物も壊れる様を目撃してきました。 Example(例示):例えば私は方丈庵を造り上げ、超ロハスな生活を送ることでこの無常に対応してきました。 Point(結論):世界は無常です。それを無視して富や人間関係に汲々とする生活は誤りであり、私のような生活こそ正しいのです。 しかもすごく具体的に数値や描写を重ねて訴えかけるのね。この災害で何人死んだ、何ヘクタール焼けた、何棟倒壊したうんぬん。方丈庵にしても内部構造を詳細に伝えて、ロハス生活も具体的な散歩コースや普段の過ごし方(琵琶のこの曲を弾いていますとか)を書き連ねる。 そういった内容の具体性と、PREP法的な構造で

    鴨長明「方丈記」がとるしたたかな戦略 - やしお
  • 勇者「仲間に女入れるのはおかしい」 : ネギ速

    2012年06月14日06:55 勇者「仲間に女入れるのはおかしい」 カテゴリ SSクズ 1: 以下、名無しにかわりましてネギ速がお送りします 2012/05/15(火) 21:56:49.84 ID:yFRUCYTHO 勇者「と、思うんだよな」 盗賊「え? でもよ。むさくるしくね?」 戦士「んだんだ。オラは女の子もほしいだ。出来れば僧侶がいいだ」 商人「ぼ、僕は戦士ちゃんがいいなデュフフ」 勇者「お前らさ、よく考えてみろよ。そりゃな? 俺だって、全員に一人女があてがわれて、 かつ、性的に思いのままになるんなら女いれるよ? でも違うだろ。別につきあってるわけでもない女に気ぃつかいながら旅とかしてぇか?」 盗賊「途中で付き合いだすかもしれねーじゃねぇかよ」 勇者「お前ら夢持ちすぎだろ。100歩譲って付き合え出したとしてもだ。旅してんだから、風呂も入ってない、無駄毛の処理もしてない女抱きてぇか

    勇者「仲間に女入れるのはおかしい」 : ネギ速
  • 『本当に受け入れて欲しかったモノは』

    父のお下がりで貰った大切な青いドラムはドラムと呼べる形ではなかった。 漁師の祖父が建てた立派な我が家は今じゃ更地。 祖母の嫁入りの際に持って来た着物は海で若布のように漂う。 来るはずもない山の上に妹の通信簿。 若かりし頃の母の写真から海の匂い。 全部ガレキって言うんだって。 全部ガレキって言われるんだって。 町は被災地と呼ばれた。 ただの高校生が被災者と呼ばれた。 あの子は思い出になった。 上を向いて歩こうと、見上げる空は虚無の青。 頬を伝う涙なんて、とっくの昔に枯れちゃった。 頑張るしかない。渇いた笑いが吹き抜ける。 ガレキの受け入れ反対‼と TVで見たんだ妹と。 昨日までの宝物。今日は汚染物と罵られる。 子供を守れ‼受け入れ反対‼国も県も何してる‼ ガレキと暮らす私達。 好きで流されたんじゃないのに…。目から流れた涙は懐かしい海の味。 こんな悲しいモノを見るくらいなら、受け入れなんて最

    『本当に受け入れて欲しかったモノは』
    ono-win
    ono-win 2012/03/31
    アメブロの割にちゃんとした文章で驚いた。
  • 現代誤訳 鴨長明「方丈記」 - OjohmbonX

    エピソード0. マジでバブル。 河とかマジ流れまくりなんだけど。うたかた? みたいなマジでバブル崩壊パネェ。崩壊再生崩壊再生。 知り合いん家も知らねえうちに消えてるし。ダチとか死ぬし。マジバブル。家なくなるしどうせ人間も死ぬし? 無常。それってバブルっつーか朝顔みたいな? 朝顔の上の滴、シズク・オンザ・アサガオみたいな。朝顔が咲いてても滴落ちるじゃん? 滴が残っても夕方には朝顔ってしぼむじゃん? みたいな感じで。マジ無常。 つーか俺の人生、マジでスゲェもん見てきたし。聞けしマジで。 エピソード1. 焼け過ぎありえねー。 安元とか何元だしマジで3年。4月28日。風バリ吹きまくってんの夜。で、火事とかやば過ぎっしょマジで。焼けまくり。一晩でリアル焼け野原ひろし。 なんか火? の赤いやつがガチで飛んでるし。煙もすげぇんだけど。おっさんとかマジボーゼン受けるんですけどw 煙で倒れるやつもいるし。か

    現代誤訳 鴨長明「方丈記」 - OjohmbonX
    ono-win
    ono-win 2011/12/09
    何がここまでさせるのか…
  • それは既に一つの革命であり、そしてまだ始まったばかりなのだ - OjohmbonX

    友達温泉の素を飲ませて遊んでいたら、急にその友達がゲボして、びっくりしちゃった。 と10歳の息子が話すのを聞いて、明子は愕然とした。てっきりDSが流行っているものだとばかり思い込んでいたのに近ごろの子たちって、進んでるわ。私ぜんぜん知らなかった。さっそく明子はiPadを手に取り、safariを立ち上げた。 あーお母さん、いけないんだ。ご飯のときは、ゲームとかしちゃいけないって言ってるくせに。 黙れ小僧。 ちょうど中華包丁で材を切り落とす要領で、卓をまな板代わりに、自分を指さす息子の小さな指をiPadで切り落とした。子供は木枯らしが吹き抜けるような声で悲鳴を上げた。明子は、こんなに切れ味がいいんじゃ、ジョブズが退いてもAppleは安泰であろうよ、と思った。それに、CEO職を退いただけでまだ会長職には留まっている訳だし。 明子は血まみれのiPadを布巾で拭い、SafariでGoogle

    それは既に一つの革命であり、そしてまだ始まったばかりなのだ - OjohmbonX
    ono-win
    ono-win 2011/09/10
    こりゃますますアップルは安泰だわ。
  • 夏の夜の夢 - OjohmbonX

    真夜中と明け方のちょうど中間に、喉元から突き上げるようにして苦しく目覚めて、ほんの今まで体験していた夢もまだ生々しく、放っておけば手放せるものを、そうはできずにマテラッツィは、ひたすら今見た光景を繰り返し繰り返し振り返っているのだった。 彼がピッチの上で、彼の脇を擦り抜けていってしまいそうなジダンのユニフォームをつかんで引くと、振り返ったジダンの目は座っている。ジダンはいきなり頭を振り下ろすようにして、同時に踏み込みつつ、彼の胸にそのスキンヘッドを叩き込もうとする。それを何とか、マタドールのやり方でかわして、はっと顔を上げると、何人ものジダンが自分を取り囲んでいるのだ。そして次々に胸や腹を目指して頭突きを繰り出してくる。ジダンが身を沈めたかと思うと、押し込んだバネが弾けるみたいに、頭突きを腹に突き刺そうとする。何とか避けるが、きりがなく次々にジダンの頭が襲いかかる。突然脇腹に燃えるような痛

    夏の夜の夢 - OjohmbonX
    ono-win
    ono-win 2011/07/07
    美しいジダンて何だ。
  • 伊佐坂家、真のトイレ - OjohmbonX

    「お手洗いを、お借りしたいのだけれど」 ほとんど消えそうに小さな声で、声に見合って身体も小さくしながら申し出たフネを、カルはかすかに笑ったようだった。受容か嘲りかは定かではない微かな笑いはさっと引いてカルはフネをトイレまで案内した。 フネは伊佐坂の家を知っていたので、何も先導してくれる必要はないのにとますます身を小さくした。 「ここが、おフネちゃんの望むトイレよ」 トイレのことを紹介したカルはそのままドアの前に立ったままだった。トイレに入る自分を見られることさえ恥ずかしいと思っているフネはカルの気のつかなさに少し腹を立てながらカルの脇を抜けようとした。けれどカルはフネの前に身体をずらして妨害した。もう一度別の側から抜けようとしたフネをカルは再び邪魔した。 「ちょっと、おカルちゃん……」 フネが訪ね先でトイレに行きたいとは言えないタイプの女だということを、カルは長い付き合いで重々承知のはずで

    伊佐坂家、真のトイレ - OjohmbonX
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    ono-win 2011/06/10
    家族思い。
  • グッバイ、ゼア・ハムスター - OjohmbonX

    お掃除を終えて晩ご飯の準備の前に少し、ソファに座って朝から動かし続けた身体をいっときだけ休めると途端に、小腹がすいたのでちょっとしたスナック感覚でハムスターをべていたら、小学校から帰ってきた娘に見られてしまった。 「ママ、それ、わたしのハム太郎」 ロコちゃんは血まみれの、私の手の中の小さな血まみれを見て泣き出した。しゃくりあげながら右手を、目の辺りにあてて涙を拭って左手は、私を非難するように私や、私の手の中の小さな血まみれを指差すけれどしゃくりあげるせいで指す指は定まらない。まるで肉の味も弾力もなく、あの肉の悦びがなくて、小さな骨と毛ばかりの口の中は、不快だしロコちゃんの泣き声は耳障りでもっと、不快なのだった。なにより不快なのはハム太郎が、ハム太郎が、とハム太郎のことしか頭にないまま、泣いてばかりいるロコちゃんのことで自分の娘ながら、馬鹿なんじゃないかと小学生にもなって少し、頭が弱いので

    グッバイ、ゼア・ハムスター - OjohmbonX
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    ono-win 2011/03/31
  • その後のトイレの神様 - OjohmbonX

    トイレには それはそれはキレイな女神様がいるんやで だから毎日キレイにしたら 女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで 私にそう教えた祖母が死んだ。私を育ててくれた祖母。 しかし私が今日もトイレを掃除する理由はむしろ、私の趣味が立ちションだからだ。トイレが毎回べちゃべちゃになる。女だから、あらぬところへ飛んでゆく。 立ちションを楽しみ、掃除をし、その副次的な効果で美貌まで手に入るなら一石二鳥だと思っていたけれど、立ちションする女は嫌だと彼氏に去られて悩んでいる。やめよう、やめようと何度も思ったけれど、どうしてもやめられずにいた。 いつものように罪悪感にまみれながら腹に渾身の力を込めて立ちションしていると、便器の水面が揺らいで祖母の顔が急に浮かび上がった。祖母の顔は言った。 「わしゃ死んだら成仏するか、千の風になると思っとった。真実はちゃうで。見てみぃ。わし、トイレの神さんや」 「地縛霊みた

    その後のトイレの神様 - OjohmbonX
  • 見た、見ていない/見えていない、見ない - OjohmbonX

    小学生のときに、地域のおじいさんやおばあさんをエアガンで撃つという授業があった。それは体験学習のひとつで、ちゃんと頑丈なおじいさんやおばあさんが選ばれてるから大丈夫だったのに、僕たちは勘違いして、学校の外でも撃つのが流行った。その辺のおじいさんやおばあさんは弱いので、すぐ死ぬ。でも命のこととかはよく分からなかったから、気にせずに撃っていた。特に僕と、2こ下の僕の弟がすごく熱心で、おじいさんやおばあさんを追いかけ回してると、あいつら、戦争を経験してるから、すごい早さで電柱をゴキブリみたいに上っていって、カラスみたいに電線にとまるんだ。エアガンは威力が足りなくて電線までは届かない。だんだん小学生たちは諦めていって、おじいさんおばあさんたちは次々に安全な電線の上にいるようになって、老人会なんかも電線の上で開かれるようになった。 ところがどっこい、うちはマンションだったのでベランダから老人たちを撃

    見た、見ていない/見えていない、見ない - OjohmbonX
  • われらとわれらの子孫のために - OjohmbonX

    技術力をあなどってはいけない。ついにマツコ・デラックスを1立法センチメートル以下に圧縮することに成功した。技術的に可能になった、というレベルにとどまらない。商業ベースで可能とした。大量、安価に市場に投入することが可能となったのだ。しかし一粒500円と若干高額であったために当初は誰も見向きしなかった。当時の市場の声を聞いてみよう。 「マツコ・デラックスを飲むなんて、きがくるっとる」 しかしイチローが飲み始めたという噂が流れ、日人たちは老若男女を問わずみな服用した。だって、イチローだよ…… だが技術を過信してはならない。 圧縮されたマツコが復元するという事故が多発したのだ。腹の中でマツコが元の体積を取り戻したらどうなる? ん? 爆発するだろ! 日人たちは次々と爆発していった。 朝、卓を囲む平均的な一家。 「たかゆき、テレビばっかり見てないで。早くご飯べないと遅刻するよ」 「わかっ

    われらとわれらの子孫のために - OjohmbonX
  • 私たちまだ死んでない - 空中キャンプ

    サリンジャーは、「ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー」という、それだけですぐにユダヤ系だとわかってしまう名前を隠すために、ずっと、JDサリンジャーと名乗っていたのだという。かくいう私も、ちょっとだけそれに似た理由で、たかこ BLと名乗っている。BLがなにを略しているのかを、私は口にすることができない。だから私は、行儀のいいタクシー運転手みたいに、余計なことをいわず、どこへいってもできるだけおとなしくしている。 私たちの日での生活はいくぶんきゅうくつだ。いつも、誰かに見つかってしまわないかとそればかりを心配している。三者面談のときには、お父さんにきちんとひげをそってスーツを着てもらうようにおねがいしなければいけなかった。「ちゃんとしたスーツを着てね」と私はいった。「なるべく原理主義者っぽくないやつ」。お父さんは肩をすくめて、「わかってるよ。俺は三者面談にはターバンを巻いていかない主義な

    ono-win
    ono-win 2009/09/12
    世界征服なんかやめにしようぜ。
  • ポンキッキはもう開かない - OjohmbonX

    「お前、俺の女になれ」 と言われムックは激しく動揺した。 「わ、わ、わ、ワタシは男の子ですぞ」 「関係ねぇよ。俺の女になれ」 ムックはときめいた。このままあの緑のバケモノと一緒にいたって幸せになれっこない。バケモノにばかり華やかな仕事がまわってくる。それを自分は家のテレビで見るばかり。果てはダスキンから就職の誘いがくる始末(モップとして)。もういやだ。 ムックはガチャピンを残してテレビから去った。そして男と暮らし始めた。その夜、ムックは極上のよろこびを知った。 「わ、わ、わ、ワタシは男の子ですゾ〜〜」 ただ男の帰りを待つだけの日々がひたすら幸福だった。そして帰宅した男を迎えるたび、うれしさに気がくるいそうだった。 「ご飯ですぞ? お風呂ですぞ? それとも……わたしですぞ……?」 そうしてムックは極上のよろこびを味わう。 「男の子ですゾッー!」 よろこびあまってムックの毛が伸びた。もじゃもじ

    ポンキッキはもう開かない - OjohmbonX
    ono-win
    ono-win 2009/07/20
    ガチャピンの立ち位置はなんなんだ。
  • 玉子焼きが食べたい、と妻は言った - nuba

    創作 | 19:19 |  松永は数週間来の激務の後で、二日間の休日を得た。休日に鎌倉に行くというのは、松永が仕事に汗を流すあいだに夢見た唯一の希望であったので、「なあお前、今日はちょっと野暮用で出掛けるよ」と松永はにひとことだけ告げると家を飛び出した。或る六月の雨雲の俄かに渦巻く朝のことであった。松永のはその朝も笑顔で夫を見送った。玄関まで摺り足で歩みゆくと、平生にはない快活さを顔面に湛えた夫に三つ指を付いた。「いってらっしゃませ」松永にその声が届いたのかどうか、定かではない。  松永が鎌倉へ行く最大の目的は、に『おざわ』のたまごやきをべさせたいということであった。松永のは永年生育した九州より出て来てよりろくすっぽ観光へも遊楽へも出掛けたことがなく、十年に渡って松永ひとりのためにつくして家庭の中に在った女であるので、それは松永の憂慮するところでもあったのだ。それに松永のは東京

  • 私の異常なお見合い・破 または私は如何にしてお見合い相手のチチを揉んで大きさに打ちのめされたか - Everything You’ve Ever Dreamed

    朝、目が覚めると泣いていた。布団に伸びた僕の右手は青白く、死んだ蛇のように見えた。左の掌で股間に触れてみる。シャクティーパット。エンゼルタッチ。大蛇は軟らかく死んでいた。僅かな希望とは裏腹に海綿体はとうに壊死しているのかもしれない。海綿体はどこかへ流れていってしまったのかもしれない。それでも人しか愛せない。海援隊が歌ったように、僕は。絵師の描いたエロ同人でつかの間の快楽に堕ちても、僕は。 麦殻が詰め込まれた枕の横で三体のこけし、ディルド君、こじゅうろう君、リトルこじゅうろう君が木製らしく冷ややかに僕を見下ろしていた。やれやれ。身体を持ち上げる。鎧兜、城郭が描かれたペイント、洋風の人形が僕を囲んでいて、埋葬品に飾られたミイラが見た世界みたいで思わずぶふぅと吹きそうになる。ここは僕がお見合いをしたシノさんの家の和室。前夜、酒をがぶがぶ飲んだ挙げ句、壁に特攻し怪我をした僕は泊めてもらったのだ。シ

    私の異常なお見合い・破 または私は如何にしてお見合い相手のチチを揉んで大きさに打ちのめされたか - Everything You’ve Ever Dreamed
    ono-win
    ono-win 2009/06/20
    今まで深く考えてなかったけど、これってラブコメじゃないか!
  • ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed

    家族でも恋人でも友人でもいいのだけれど、そういう大事な人を喪ったときの正しい感情ってなんだろう、なんて答えがないことを父の死を契機に僕は十代の終わりの一時期かなり真剣に考えていた。父が死んだとき僕が真っ先に思ったのは、悲しみでも、将来や生活への不安でもなくて、人間なんて簡単に死んでしまうんだな、エロの隠し場所には気を付けなきゃいけないな、というどうでもいいことだったりする。多感な18才だったので悲しかったのは間違いないのだけれど、前年の夏に祖母を亡くした直後ということもあって命が消えてしまう呆気なさに僕はただ愕然としていたのだ。 愕然としたあと僕はムカついた。というのも淡々と葬儀屋と打ち合わせをこなし、葬儀を執り行う母をみて親戚のオッサンどもが「少し休んだらどうだ」とか「泣いたっていいんだぞ」とか「これからの生活はどうするんだ」なんていちいち声を掛けてきたからだ。母のやりたいようにやらせ

    ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed