話しは数年前にさかのぼる。ずっと答えが出せないまま気持ちを引きずっている。 出張先に行くために駅に向かった。都合のいいように会社に言い訳をし、前泊を理由に午後退社したため時間は十分にある。 数本、遅めの新幹線に乗車しよう。僕は駅前の本屋に向かった。 「さっきね、ゴミいたよゴミ。1000円おばさん」女子高生の会話は、いつ聞いてもネタが尽きない。 数冊の週刊誌を購入し駅のホームに向かう。 駅のホームに向かう途中、前方やや斜め方向から、大きな声で僕の苗字を叫ぶ。あきらかに数ヶ月間は、風呂に入っていないと思われるホームレスらしき女性が、僕の目の前に立ちはだかる。 「〇〇君だよね。1000円ちょうだい。ねぇ。」 下校中の学生、駅に商品を搬入する配達員、足早に歩くサラリーマン、単にお茶していたであろうおばちゃん集団。一斉に私の方に興味本位の体制で視線を向け立ち止まる。 「〇〇君、1000円かして。ねぇ