すこし昔、僕は池袋西口ではちょっとした「顔」で皆からは「キング」と言われていた。日曜日、久しぶりに訪れた池袋は「ふくろ祭り」というそのまんまネーミングのお祭りをやっていて、約束の時間にお約束どおりに遅れてやってきた僕の胃は祭りの太鼓の音によって底からブブンブンブと蹴り上げられた。そのウーファー・サウンドが悪夢の予兆ということに気付くのはずっと後だった…なんていえばドラマか小説みたいでちょっとは格好がつくのかもしれないけれど僕がそれに気付いたのは、ギャルの逆ナンパの嵐を「うぜえ」のパンチで撃退して居酒屋に入り、昼過ぎからカウンターに並んで安酒とお新香と枝豆をを前に赤くなっているオッサンの鈴なりを抜けて、居酒屋のGスポット的なポジションである一番奥にあるお座敷にあがり、すわった目で待ち構えていたオッサンの前に腰をおろした瞬間なのだから事実というやつは余裕がないというかせっかちというか答えを急ぎ