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  • 《天冥の標》から『息吹』まで、多数の傑作SFが刊行された2019年を振り返る - 基本読書

    息吹 作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/04メディア: 単行 傑作揃いの短篇集 今年のSFでまず中心的に語っておきたいのは*1、素晴らしい短篇集が多数出たことだ。たとえばテッド・チャン『息吹』は著者一七年ぶりのSF短篇集で、『メッセージ』の題名で映画化された短篇を含む前作『あなたの人生の物語』を上回る密度を誇る傑作ぞろい。中でも表題作「息吹」は我々の世界とは仕組みが異なる異世界の生活や原理を緻密に描き出しながら、一人の科学者の脳科学・物理学の追求を通して世界の真実に至ろうとする物語で、三〇ページほどの中に世界を探求することの喜びが緻密に織り込まれている。この一〇年で読んだ中で最上の一篇である。 ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF) 作者:グレッグ イーガン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/31メディア: Kindle版他、外

    《天冥の標》から『息吹』まで、多数の傑作SFが刊行された2019年を振り返る - 基本読書
  • 最強メンバーを揃えて帰ってきたSFアンソロジー──『NOVA 2019年春号』 - 基本読書

    NOVA 2019年春号 (河出文庫 お 20-13) 作者: 大森望出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/12/05メディア: 文庫この商品を含むブログを見る良質なSF短篇を世に送り出してきたSFアンソロジー『NOVA』は全10巻及び『NOVA+』以後、刊行が途絶えていたが、今回『NOVA 2019年春号』として帰ってきた。編集後記で大森さんも書いているが、この何年かでいろいろなルートでSF作家──というよりかは、積極的にSFも書くぞ、と思っていそうな作家が増えているのに短篇発表の場が少ないので、もっと早く再起動してほしかったところである。 で、まず内容をみて驚いたのはその作家陣の凄さ。トップバッターの新井素子に、波に乗りまくっている『ゲームの王国』の小川哲、『Ank: a mirroring ape』の佐藤究に『横浜駅SF』の柞刈湯葉に『ザ・ビデオゲーム・ウィズ・ノーネー

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  • ワクチンに恐怖を感じる心理──『反ワクチン運動の真実: 死に至る選択』 - 基本読書

    反ワクチン運動の真実: 死に至る選択 作者: ポールオフィット,ナカイサヤカ出版社/メーカー: 地人書館発売日: 2018/05/14メディア: 単行この商品を含むブログを見る最近、麻疹が流行っている。日では一度ほぼ根絶状態まで持っていった麻疹だが、他国ではまだまだその猛威を奮っており、ワクチンや予防接種の状態が万全でなければ簡単に輸入してしまう。さらに、感染がまた起こったのは、日では現在MRワクチンの接種回数を2回に定めているが(1歳から2歳までに1回、5歳から6歳までに1回)、一時期この回数が1回のみだったことなどが関係しているとみられている。 僕も書を読むまでは知らなかったのだが、こうした状況は、アメリカではさらにひどいことになっているようだ。2009年から10年の間にニューヨーク市とその周辺で3500件のおたふく風邪が報告され、10年には百日咳で子ども10人が死亡した。12

    ワクチンに恐怖を感じる心理──『反ワクチン運動の真実: 死に至る選択』 - 基本読書
    oooooooo
    oooooooo 2018/05/12
    "反ワクチン思想を持つ親を集めた実験で、それぞれ違った形でワクチンを打たないことの危険性を伝える4グループに分け、ワクチン接種をしたいと考えるようになったかを調査したが、どのグループも考えは変わらなかっ
  • SFの醍醐味がつまったSFコミック短篇集──『無限大の日々』 - 基本読書

    無限大の日々 作者: 八木ナガハル出版社/メーカー: 駒草出版発売日: 2018/02/28メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る著者八木ナガハルがコミケやコミティアで発表したオリジナルSF漫画を集めたこの一冊。SF物で一巻完結という時点で珍しいが、その中身は漫画という表現形式ならではの壮大なSFアイディア/光景をみせてくれる、SFとしての醍醐味がたんまり詰まった短編集だ。軌道衛星、何種類もの軌道エレベータ、昆虫型の異生物、機械知性に自由意志問題──といったいくつものネタを、守備範囲が海外SF小説メインのハードSF者と自己紹介する著者が調理していくので、それはまあおもしろいわな。 各作品をざっと紹介する 当は絵、ヴィジョン、見せ方をそのまま貼っつけてお見せしたいところだがそれは無理なので全八篇の収録作を順番に紹介していこう。まず最初に収録されているのは、別々の惑星で同じ

    SFの醍醐味がつまったSFコミック短篇集──『無限大の日々』 - 基本読書
  • 読書によって夫婦の相互理解は深まるのだろうか?──『読書で離婚を考えた。』 - 基本読書

    読書離婚を考えた。 作者: 円城塔,田辺青蛙出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/06/22メディア: 単行この商品を含むブログを見る円城塔、田辺青蛙の小説家夫婦が、課題を出し合い交互にそのについてのエッセイを連載することによって、夫婦の相互理解につとめる──そんなコンセプトではじまったWeb連載が一冊にまとまったのが書である。かたや理系で、わけのわからない抽象的な小説を書くと評判の円城塔さん、かたやホラー・怪談作家で読むとしては実話に近いものを好む傾向がある田辺青蛙さんと、書くものも読書傾向もさっぱり合わない二人だが、はたして読書で相互理解は進むのか!? 攻撃としての相互理解 ……といえば、相互理解はなかなか進まない! そもそも好きなんか数百冊読むような人たちが集まったところでお互いの趣味領域が一致することは稀である。 その上、確かにスタート時点ではコンセプトが「読

    読書によって夫婦の相互理解は深まるのだろうか?──『読書で離婚を考えた。』 - 基本読書
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