あれは中学三年生の時。友達と追いかけっこをしていた自分は追って来る友達の鼻先でガラス戸を閉めた。今思うと馬鹿な事をしたものだが咄嗟の事でやってしまった。そう、おそらくそれで友達が止まるだろうと期待していたのだ。だから後ろを振り返ったのだ。いや、違うな。閉めた途端にそのあとおこる事態が想像できたんだ。だから振り返った。つまりこの時からスローモーションはスタートしている。 振り返った自分の目に飛び込んで来たのは、まったくスピードを緩めずガラスに突っ込む友達の姿だった。砕け散るガラスのきらきらと舞う感じ。あ、目に入るとまずいなでも友達の目の先には手があるから大丈夫かとか、短パンに刺さろうとしている破片はないな、とかまさにサムペキンパーのスローモーションのように細かく観察することができたのだ。 そもそも昔から全ての動物の脳の知覚スピードが同じはずはないと思っていた。 「IWAMAL」という漫画をや