アウンミャッウインは、注文された大量のテイクアウト料理をカウンターに並べ、箱に詰めると次々に客に渡した。「はい、お待ちどうさま!」モヒンガー、ラペットゥ、グリーンカレー、タミンジョー……、もとより、料理の腕は折り紙付きだ。空腹には刺激的な香りが鼻孔をくすぐる。ミャンマー人の難民認定者である彼がこの大阪のエスニック料理店「ミャンマービレッジ」のオーナーシェフになる経緯と、その壮絶な半生は連載第20回に書いた。 ミャンマーで軍事クーデターが起きてから、3カ月。ロヒンギャ(ミャンマー西部ラカイン州在住のムスリム)へのヘイトに加担せず、それでいて一方的な国民民主連盟(NLD)批判、アウンサンスーチー批判にも与しなかった活動家でもある彼に、ミャンマー情勢を聞くことにした。店が暇になる時間を聞いて足を運ぶと、店主はコロナ禍のランチタイムでひと仕事を終えて店の休憩に入り、ようやくテーブルにつく。手製のパ
![木村元彦連載「塵芥の声を聴く~インビジブル・ダイアリー」第22回「クーデターを境に変わること、変わらないこと~ミャンマーの今を問う」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e639dbe904ef0c1a76b8b709661ea04466eb49cc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fs3-ap-northeast-1.amazonaws.com%2Fimg.imidas.jp%2Ftopics%2Fwp-content%2Fuploads%2F2021%2F06%2F18201653%2FL-80-022-3_sns.jpg)