コロナ禍で国民生活が大打撃を受けている最中、議論がこれだけ紛糾することになった事の発端は、今年(2020年)1月31日の閣議決定です。 政府は、1月31日に東京高検黒川弘務検事長の定年延長を国家公務員法の解釈変更というかたちで閣議決定しました。 そして、その後検察庁法を大きく変える改正法案が提出されたわけですが、なぜこのような時期に、しかも今まで準備されてきた法案とまったく異なる唐突な法改正となったのかについては、どうも黒川検事長を次期の検事総長にするためではないか、あるいは解釈変更を後付で正当化するためではないのかといった憶測が渦巻いています。その理由はこうです。 1.現行の人事システム まずは現行の人事システムがどうなっているかを確認します。 検察庁法22条は、「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」(第22条)と規定しています(図1