〈ブリューゲルはおそらく西洋絵画で初めて、われわれに《世界》を見せるだけでなく、聞かせてくれた〉 〈音楽は予言的であるが故に告知する。音楽は、いつの時代にもその原理のうちに、来るべき時代の告知をふくんでいたのだ〉(本文より) 音楽と貨幣と雑音と……。その間に存在する不思議な関係。古代ユダヤのカントル、中世の大道放浪芸人ジョングルール、パトロンお抱えのミンストレル、天才作曲家モーツァルトとバッハ。現代ロックのジミー・ヘンドリックス、さらにショービジネスのスターに至るまで。彼ら音楽家とその音楽は、音楽の力以外の力、貨幣や儀礼などの「検閲」のもとにおかれていると著者は言う。さらに言うまでもなく、音楽は、雑音の組織化かつ世界知覚の道具である、と。 そして今、音楽はかつてないほどわれわれの生の一部となりきっている。オブジェ(商品)へと方向づけられ、大量消費のシンボルたらんとする〈音楽〉。 本書は、そ