ディズニーは間違いなく世界最大のアニメーション製作会社であり、数多くの技術的革新を成し遂げてきた偉大なるパイオニアである。しかし、その一方で芸術的革新という意味において、アメリカン・アニメーションの多様性と可能性を妨げてしまったという事実も否定しきれない。ディズニーのアニメーションでは芸術作品ではなく商品であり、その事はウォルト・ディズニー自身の意図したものであった。ゆえに、個性の強い作家性や芸術性は極力削ぎ落とされ、一人でも多くの観客が楽しい・美しい・可愛いと感じることの出来る最大公約数が優先されることとなった。その当たり障りのない大衆娯楽性と徹底した職人技術こそがディズニーを世界最大のアニメ・スタジオに成長させたのであり、幅広い人々に受け入れられたという点で、ディズニーの方向性は決して間違ってはいなかったのだろうと思う。しかし、その保守的で制約の多い美意識によって、大衆のアニメに対する