わたしが作ったたべものに対する、「おいしい」という反応。 「(味覚として)おいしい」 「(社交辞令として)おいしい」 「(まずい。でも)おいしい(といったほうが丸く収まる)」 「(この味は趣味じゃないけどまあ食えるから)おいしい」 味が良いことを伝えたいのか、味ではなく作った人を思いやっていることを伝えるための意味合いが強いのか。 その人が食べる速度やおかわりの有無などの、ことば以外の情報から、わたしはつい「おいしい」の真意をさぐってしまう。 わたし自身が「おいしい」ということばを他人に強要してしまうかもしれないことにも怯える。 いつからか、わたしは「おいしい」場がこわくなった。煩わしくなった。 逆に「まずい」は、主に味を批評していることは明らかで、「社交辞令」を捨象した潔さがある。 「まずい」と言ってくれたなら、わたしはまっすぐその人の目を見て、その食べ物についての話が