1. サポート・メンバーの再編の前に発表されたのが、3曲入りのシングル“街の報せ”(2016年)だった。黒田卓也(トランペット)やコーリー・キング(トロンボーン)らとNYで録音した同作は、いま聴いても髙城晶平、荒内佑、橋本翼という三人の濃密な音楽的コミュニケーションと次なる一歩への野心が感じられる。内省的なR&B、あるいはヒップホップ的なアプローチが目立っていた繊細な3曲だが、それらがceroの前途を予見していたかというと、新作『POLY LIFE MULTI SOUL』が届けられたいまとなっては、〈それはまったく違う〉と言うほかないだろう。ceroは、バンドとして何度目かの変化のときを迎えている。 2. そもそも、編成や音楽的なアプローチが同じであったり、何かしらの延長線上にあったりしたことなど一度もないのがceroというバンドだろう。そうはいってもしかし、『POLY LIFE MULT