25日、元巨人の土井正三氏がすい臓がんのため死去した。土井氏は育英高校(兵庫)、立教大学を経て1965年に巨人に入団、名二塁手として鳴らした。打撃では強打者の長嶋茂雄氏や王貞治氏につなぐ2番打者としてチームバッティングに徹し、巨人の9連覇に大きく貢献。現役引退後は巨人のコーチ、オリックスの監督などを務めた。しかし、2007年春にすい臓がんを患い、手術後は自宅で療養していた。その年の夏、療養中の土井氏を当サイト編集長・二宮清純が訪ねた。V9時代からオリックス監督時代のイチローとのかかわりなど、土井氏が語ってくれた貴重なエピソードをここに改めて紹介するとともにご冥福をお祈りしたい。 「生きていてよかった。本当に生きていてよかったと思いました」 東京都内の自宅。リクライニング式のベッドに腰をかけながら、ひとつひとつの言葉を噛み締めるように土井正三は語り始めた。 頬は随分こけたが、眼光は異様に鋭い