「大事なことは主流にならぬことだ。傍流でよく状況を見ていくことだ。舞台で主役をつとめていると、多くのものを見落としてしまう。その見落とされたものの中に、大事なものがある。それを見つけていくことだ」 (渋沢敬三、宮本常一「民俗学の旅」より) ・ ・ ・ 先だって、希代の民俗学者・宮本常一が書いた回顧録(エッセイ)「民俗学の旅」を読みました。 民俗学とは、ワンセンテンスで申し上げれば、「かつて文字を持たなかった民衆社会のなかで行われた、文化伝承の方法であった言葉と行為ー慣習的生活の記録化と、これをもとにして文化の原型への遡源と文化の類型・機能を研究しようとするもの」(同書p235より抜粋)です。 もう少し具体的にいえば、「民衆の息づく田舎をまわり、そこで営まれている生活を記録すること」を主な活動とする研究です。 僕は民俗学に関しては、ズブの素人です。41歳になるまで、民俗学についての書籍をあま