<平和つなぐ>(3) 壁倒す 主役はあなた ◆浜矩子さん 62歳 青いドレスに黄色のスカート、頭には赤い大きなリボン。白雪姫に扮したのは、紫色の髪をした経済学者・浜矩子さん(62)だった。今年三月、東京都内で開かれた教育関係者の集会での演劇「白雪姫-絶望の壁を乗り越えて」。意地悪な王妃に負けず、白雪姫が幸福をつかむ。そんな童話が、学者仲間の書いたシナリオでは、人々の権利を抑え込む「壁」を打ち倒す内容になっていた。 演技は不慣れで、観客からは苦笑も漏れた。だが、「壁を倒すのに必要なのは、耳と声」との、呼び掛けは本気だった。浜さんが倒したかったのは、憲法の理想を阻む壁だった。この劇をきっかけに、浜さんは「ある王子と鏡の対話」の題で、地方紙にコラムをつづった。そこにこうあった。「鏡よ鏡、この世で一番大切なものは何であるか」「それは平和憲法でございます」 ◇ 憲法への思いは、八十五歳になる母の京子