2017 - 05 - 05 インサイド・オブ・ザ・ピーチ【僕はもう二度と桃から生まれたりしない】 随筆・漫文 山間の農村地帯を流れる緩やかな川に大きな桃が流れていた。 桃の中には小さな赤子がいた。 赤子は桃の中で考えていた。 *** もう何回目やねん、桃に入ってこの川を流れんのは。最初の頃は桃がどんぶらどんぶら揺れるからえらい酔って吐いてもうて、桃の中ゲロまみれで臭あなった事もあったけど、もう慣れてもうたわ。 どうせもうすぐ洗濯中の婆さんに拾われて、桃割られて、桃太郎とかいうなんのひねりもないしょーもない名前付けられるんやろな、なんかもっと変わった粋な名前付けてくれへんやろか、桃之丞とか、桃時雨とか、 ピーチ・ジョン とか。 いや、でもなんかしっくりこおへんな。やっぱ桃太郎が一番しっくりくると思てしまうのは慣習によって刷り込まれたイメージが脳内にこびりついとるんやろな、因果なもんやな。
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