本誌編集長・宇野常寛の連載『京都精華大学〈サブカルチャー論〉講義録』。『新世紀エヴァンゲリオン』が人気を集めるその裏側で、ボーイズラブ的に受容された『新機動戦記ガンダムW』が切り開いたロボットアニメの可能性。戦後日本の〈成熟〉にまつわる問題意識を乗り越える、新たな想像力の萌芽について論じます(この原稿は、京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部 2016年5月13日の講義を再構成したものです)。 ロボットアニメを書き換えた1995年の『新機動戦記ガンダムW』 初代『ガンダム』から『エヴァンゲリオン』に至るまで、ロボットアニメの主人公の少年たちは等身大の悩みを抱えた「内面のある」キャラクターでした。自意識過剰で、「お父さんに認められたい」「女の子をゲットしたい」「大人の男になりたい」とか、そういった思春期の悩みに溢れていましたよね。ところが、そういった悩みを一切抱えていない少年を描いたロボット