小説のガイドブックが好きだ。もともと小説が好きなので、それについてのガイドブックに興味を惹かれるのは当たり前。読んだ本が取り上げられていれば、どんな風に評価されているのか確認せずにはいられない。読んだことがない本について面白そうに書かれていたら、「なんで今まで、この本のことを知らなかったんだ」と悶えながら、書店に買いに行く(私は書店購入派)。隅から隅まで舐めるように読み、とことん活用するのである。 とはいえガイドブックにも、内容が濃いものもあれば、薄いものもある。執筆者の熱意と知識により、充実度が変化するのだ。その観点から本書を見ると、実に濃密である。なにしろ冒頭に収録されている、津原泰水と若木未生へのインタビューから、大いに飛ばしているのだ。 さまざまなジャンルを横断しながら、優れた作品を発表している津原泰水は、かつて津原やすみ名義で、少女小説(当時はまだライトノベルという名称はなかった