「家族」をテーマにした一般向けの書籍にも目を通してみる。 香山リカ著『親子という病』、2008年9月初版。この著者の本は初見。ところどころ才気を感じるが、全体としては厳しい出来栄えといわざるをえない。情報と思考の断片がパッチワークのように継ぎ合わされている感が強く、また親子をめぐる事件についてのマスコミで流れるきわめて断片的な情報から精神病理を再構成して、著者の主張の裏づけとしてしまう論理展開の強引さが目につき、読んでいてひやひやしてしまう。他の本もこんな出来栄えなのだろうか。 沢山の本を出版されているのだから、きっと才能の豊かな方なのだと思うが、もし他の著作もこうした出来栄えであるとすれば、その才能が本当に豊かな仕事を生み出すことに用いられるのでなく、出版の自転車操業をまわすエネルギーとして放散されているのではないだろうか。もちろん、情報を着想で糊付けし一冊の本として構成して商品として流