著:藻谷 浩介 「景気の波は普通の波、それに対して生産年齢人口の波は潮の満ち引きです」。(本書より) 多くのデータを用いながら、日本経済停滞の原因は生産年齢人口(消費の中心になっている年齢の人口)の減少にある、と説明している本。率直に述べて、少子高齢化が続いて生産年齢人口が減ってゆけばそれが経済成長の足かせになることは、当たり前のことだと思うが、出版されて数年は一部で反発を招き、かなり議論を呼んだ。 さすがに、少子高齢化の深刻度が年々増すにしたがって、今はあからさまな反対意見は減ってきた。ただ、著者が本書で指摘しているように、日本の経済成長の鈍化を景気のせいにしている人たちがかつては世の中にたくさんいた。そして、そのような人たちの主張に動かされて、日本は目先の景気刺激策のために国の借金をどんどん増やしてまで莫大な公共予算を投入した。また、そのような目先の景気刺激策優先を唱える主張が世間で幅