靴を5足履きつぶして長い距離を走りぬいて、僕は何を学んだのだろうか。ここまで書けなかったことについて、最後に書いてみたい。 まずは、途方に暮れたときにどうするべきか、について。 日々のランニングの記録は、宿の布団の上もしくは各ラウンドが終わったあとに帰りの電車の中で書いたものだ。すなわち、走っている時の辛い心境が少し忘れ去られたタイミングで書かれている。この道中記が若干淡々としたトーンになっているのは、僕の性格によるものだけでなく、一仕事終えた後の安堵とともに書いているから、というのもあるのだろう。 実際のところはもっとつらいことばかりだった。特にきつかったのは、後半の富山→福井と福井→鳥取の区間。たくさんの坂道、きびしい雨降り、寒さ、一日に走らないといけない距離の長さ、アキレス腱の痛み。 一番印象に残っているのは、兵庫県の朝来市に入ったときのことだ。山奥で24時を回り、周りには何もない、