マグロは時速100キロでは泳がない。マンボウとペンギンは同種の泳法を採っている。アホウドリは46日で世界一周するし、世界一のろい魚はサメである。 読み進めるうちにオロオロしてきてしまう。マグロといえば超高速で海の中を弾丸のように泳いでいくイメージがあったし、とぼけた顔のマンボウがまさか水族館のアイドル、ペンギンと同じ泳ぎ方をしているなんて想像できないし、地球一周4万キロを46日で周る旅程なんて歩くしかない人間には不可能なわけで一体どんな旅路なのやら、更にはサメ、君は大海原のハンターじゃなかったのか。 本書『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』は、バイオロギングを用いた生態学研究の最前線を生き生きと伝えてくれる、非常にエキサイティングで臨場感溢れる一冊である。著者、渡辺佑基氏は現在国立極地研究所の助教授。東京大学農学部在学中に極地研究所の内藤靖彦氏に出会ったことでバイオロギングの扉を叩くこと
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