(英エコノミスト誌 2011年9月3日号) 政治体制を悩ます問題は1人の人間には荷が重いが、野田佳彦新首相は第一歩を踏み出すことができる。 また1年経ち、また首相が代わることになった。野田佳彦氏は、ライオンのたてがみのような髪型の小泉純一郎元首相が2006年に退任して以降、6人目の首相に就いた。 小泉元首相の輝かしい5年間は、今や黄金時代のように見える。その後、日本の政治は機能不全に陥った。各党は内部分裂を起こし、凡庸な指導者が続き、有権者は混乱し幻滅した。 野田首相は型破りな指導者にはならないだろう。本人自ら、恰幅の良いルックスを水底で暮らすドジョウに例えて、自身の平凡さを認めている。元首相の1人として片付けられる前に、少なくとも野田氏は、良い意味で自嘲的なウィットを持っていると言える。 野田新首相の資質 新首相の別の資質にも触れておくべきだろう。財務相を務めた野田首相は、日本のはまり込