最近、ドイツの外務省にとって、欧州各地の報道のチェックは気持ちのいい作業ではない。 「ちょっと見てくださいよ。こんなものは、とても受け入れられない」。ある外交官はそう嘆きながら、シルビオ・ベルルスコーニ氏所有のイタリア紙イル・ジョルナーレの1面に載った記事を指さした。 ユーロ危機とアウシュビッツを結びつけ、ドイツの傲慢さに気をつけろと警告し、ドイツは単一通貨を兵器に変えたと断じる内容だった。 もはやタブーでなくなったナチス・ドイツへの言及 ギリシャの新聞も大差ない。ナチスによるギリシャ占領に言及する際のタブーは、ずいぶん前に破られている。 「ドイツ人は嫌なヤツだ」との見方が南欧全域で息を吹き返している。ドイツは他国を貧困に追いやり、各国の政府から権限を奪い、大抵は誰にでも偉そうに命令する、という具合だ。 これに比べればはるかに丁寧とはいえ、ドイツ叩きは政府などの要職に就く人々によっても行わ