勝利宣言がこれほど短命だったことも、めったにない。 スペインの銀行を支援するために最大1000億ユーロを供給するという欧州連合(EU)の合意は、スペインの全面的な救済を回避した勝利だ――。スペインのマリアノ・ラホイ首相が得意そうにこう話していたのは6月10日のことだった。 その翌日でさえ、多くの債券市場投資家やアナリストらは、ラホイ首相の主張に疑いの目を向けていた。 だが、週末までにムードは一段と暗くなり、大半の市場関係者は、スペインがギリシャやアイルランド、ポルトガルと同じのように、EUと国際通貨基金(IMF)が実施する救済プログラムを必要とするようになると確信していた。 全面的な救済は避けられない ソブリン債市場の刑執行が猶予されるというスペインのはかない希望は、EUのどの機関が銀行救済用の資金を供給するかを巡る混乱(欧州安定メカニズム=ESM=であれば、他の債権者に優先することになる