ラグラム・ラジャン氏が今年8月にインド準備銀行(RBI)の総裁に任命された時、インド経済は1991年の国際収支危機以降最悪とも呼べる時期を経験していた。 現在、前途は多少明るく見える。通貨ルピーは今夏の大底から反発し、通貨危機の噂は静まった。インド株はつまはじきの立場から抜け出し、代表的な株価指数であるSENSEXは3カ月間で14%上昇した。 懐疑的な向きは、相次ぐ前向きな経済ニュースは、ムンバイではなくワシントンにいる中央銀行関係者のおかげだと主張する。この言い分はフェアではない。 確かに、資産購入を継続することにした米連邦準備理事会(FRB)の判断は、新興国市場からの資金流出の波を食い止めた。だが、ラジャン氏は直ちにインフレを抑制するための断固たる手段を講じた。消費者物価は前年比10%のペースで上昇している。3カ月間でRBIの政策金利を2度引き上げたことは、インド企業の受けがよくなかっ