(2015年3月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 今年の初め、大手の石油トレーダーは超大型タンカーの手配に奔走した。原油を安値で買って船で保管し、先物市場でこれを売って利益を確定しようという目論見だった。 しかし、船舶ブローカーやアナリストらの話によれば、原油を最長12カ月間沖合で保管するためにチャーターされたほぼ40隻のタンカーのうち、実際に原油を保管しているのはわずか2隻にとどまるという。 石油商社のヴィトールは、タンカーに蓄えていた原油の一部を売却している。また、同業のグレンコアやトラフィギュラと同様に、そうしたタンカーをほかの業者に貸し出して通常の原油輸送に使えるようにしている。 当初は、原油市場のコンタンゴ――商品先物取引の用語で、受け渡し時期が遠いものほど価格が高くなる「順ざや」状態のこと――は、1億バレルもの原油が洋上保管された2008~09年のそれに似たものになると