●腸内フローラ分析とは この7年ほどで、腸内フローラ(腸内細菌叢)分析の分野において、画期的なイノベーションが起こっている。腸内フローラは、アレルギー、肥満とやせ、がん、糖尿病、うつ、認知症、アンチエイジングと、現代人の関心の高い健康の問題にことごとく関係している。英有力科学誌「Nature」も特集増刊を出版し、今年2月にはテレビ番組『NHKスペシャル』でも特集され話題となった。ビジネスでは、ヒトゲノムの分析よりも短期的かつ直接的に大きな影響があるだろう。 ひとりの人間が持つ腸内細菌は1~1.5kgで、最大の臓器である肝臓と同じくらいの重さだ。細胞数は人体の60兆を超える100兆以上、種類は約1000種類あり、それぞれが相互に必要な物質を供給し合い、主に大腸の中で共生している。エコシステムというか、それ以上のちょっとした「宇宙」ともいえるだろう。腸内細菌の多くは、嫌気性で酸素に触れると死ん