自らが死んだ後、遺族に迷惑をかけまいと終活に励む人が増えている。しかし、仏教思想家のひろさちや氏はこれに警鐘を鳴らす。実例から学ぶ、終活をすることで生じるトラブルとは。 *** 自分の死後、相続で遺族が揉めて欲しくないからといって「終活」に励む人がいます。でも、揉めるかどうかは残された家族の問題だと思うのです。自分が生きている間に、子供たちの仲がうまくいくよう心を砕くのならまだ分かりますが、死後のことはもう口出しできません。ならば生きているうちに旨いものでもたらふく食べ、持っているお金は使い切っちゃえばいい。 終戦直後、私の母が戦死した父に掛けていた保険金を受け取りに行ったのですが、インフレで保険金は片道のタクシー代にもならなかったと聞きました。ドイツでもハイパーインフレが起こった際、相続したお金を真面目に貯め込んだ人は全部パーになってしまった。ところが、もらったお金を酒で浪費した人は、ビ