「上へ参りまーす」エレベーターガールはそう言うと、扉が閉まり、僕は下方向に軽い加速度を感じた。「このエレベーターは『天才エレベーター』となっております。最上階の天才まで各階に止まります」僕がこのエレベーターに乗ったのは15歳の頃からだ。それからずっと、このエレベータに乗っている。僕以外は5歳ぐらいから乗ってる人もいて、どうやら最上階の天才まで辿り着いた人もいるらしい。まぁ、誰も見た人はいない。噂だけどね。今の僕は24歳。「135階、修士論文研究前段階発表フロアでございます。この発表で今後の修士卒業と進路、博士後期課程のポストが決まりまーす」エレベーターガールが説明した。そのとき、突然、僕は息が苦しくなり始めた。うがはっ!苦しい!がはっ!ここから出してくれ!外の空気を吸わせてくれ!「135階でーす」エレベーターガールがそう言ってドアが開くと同時に、僕はエレベーターの外に飛び出した。倒れて四つ