発端は美少女のイメージ広告だった。「この素肌、真実。」とだけコピーがあり、商品そのものの情報はいっさいない。〈コスメディック・ビッキー〉という社名から察するに化粧品メーカーなのだろう。それにしても、広告の美少女はほとんど奇跡だ。「美」といっても目鼻立ちのことではない。どこまでも細やかな肌理、瑞々しく、うっすら輝くような皮膚。イメージ広告は女性のあいだでちょっとした話題になる。女子大生の岡村天音も例外ではないが、ビッキーの直通電話に連絡してみるふんぎりはつかない。そんなおり、同じコーラス・サークルの真鍋先輩が大変身をとげて、天音を驚愕させる。それまでは歌うと顔にヒビが入ると言われるほどの厚化粧だったのが、つるりとなめらか、まるでマシュマロのような肌になっているのだ。聞くと〈素肌改善プログラム〉を受けているという。 〈素肌改善プログラム〉は、〈コスメディック・ビッキー〉が開発した新しい技術だっ