(2009年1月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 失業率の上昇、住宅価格の下落、国家財政の悪化が急速に進む中、かつて「ケルトの虎」と呼ばれたアイルランドは厳しい緊縮財政の時代を迎えようとしている。 アイルランドは新年の二日酔いから容赦なく揺り起こされた。まず、高級陶磁器・クリスタル製品メーカーのウォーターフォード・ウェッジウッドが破産管財人の管理下に置かれた。続いて、アイルランドにとって最大級の外資企業である米デルが同国リメリックにあるパソコン工場を閉鎖し、ポーランドに移転すると発表したのである。 それでなくとも失業率の上昇と銀行危機、膨れ上がる財政赤字に苦しめられていたアイルランド経済にとって、これはダブルパンチとなった。過去10年以上にわたり、他の欧州連合(EU)加盟国を上回る成長を遂げてきたアイルランドだが、今多くの評論家は、かつての「ケルトの虎」が今後長らく欧州の劣等