四月も半ばというのに東京は氷雨が降っている。早期退職優遇制度の申込はあと今日と明日を残すだけだが、週が明けて申込者が激増した、という噂はまったく聞かない。外から冷え切った身体で出勤してくる同僚たちはみな心なしかぐったりしている。月曜の朝、憂鬱な一週間が始まった。 もし五十名の募集枠が順調に埋まっていて、あと数人、という状況になったら会社は「アナウンスします」と言っていたはず。何も言わないということはまだまだ埋まってないのだろうか。金曜に明らかになった大幅減給も、対象者の心を動かすには至らなかったようだ。状況は膠着したように動かない。 僕は最近、退職後に何をしようかと考えるのが楽しい。不安はものすごくあるけれど、これまでのようにただ働くだけで大枚の給料を取ることはできないけれど、六月以降が楽しくてしかたがない——と思うようにしてる。そうしないと不安に押しつぶされるからナ。 ■退職後の目標——