【ニューヨーク=柳沢亨之】国連安全保障理事会は4日、シリアの反体制派弾圧を非難する決議案を露中の拒否権行使で廃案とし、「アラブの春」支援の道を閉ざした。 露中の行動は欧米のリビア攻撃に対する事実上の報復で、内政不干渉を主張する非常任理事国のインド、ブラジル、南アフリカとの共闘路線も確立。人権を弾圧する政権への制裁は極めて困難となった。 「拒否権行使は『アラブの春』の拒絶だ」。フランスのアロー国連大使は決議案採決後、アラブ諸国の民主化を阻もうとしたとして露中を強く批判した。 決議案提出国の英仏など欧州4か国は今回、資産凍結など経済制裁や国際刑事裁判所への付託に関する部分を次々削除し、露中に譲歩した。だが露中側は、欧米が3月のリビア決議を拡大解釈し、軍事作戦に利用したと主張。将来の制裁の可能性を一切認めない強硬姿勢で、交渉は決裂した。