電力の安定供給や産業振興を担う立場にある経済産業相が、原発ゼロが及ぼすマイナス影響を直視せず、根拠もないまま楽観的見通しを語るのはあまりに無責任だ。 枝野幸男経産相が7日の記者会見で、2030年の原発比率をめぐる選択肢に関し、原発ゼロでも「経済にはプラスになる」などと述べたことである。 最大の問題は「原発なしでも日本はやっていける」との誤った予断を国民に与えかねない点だ。 政府試算でさえ、原発ゼロを選んだ場合、本来の成長に比べ重大なマイナスが避けられないとしている。それでもプラス成長を達成できるというなら、枝野氏は明確な根拠を示すべきだ。国民を原発ゼロへ誘導しようという意図があるのなら、論外である。 政府は6月末、意見聴取会などを経て新たなエネルギー計画を策定するため、総発電量に占める原発比率を「0%」「15%」「20~25%」とする3つの選択肢を提示した。福島原発事故を受けて原発比率を引