日本社会における市民運動と助け合いにはどのような特徴があるのか。共助が弱いと言われる背景にある構造とは? 市民運動が自立するために必要なことを探る。 市民社会の二重性 ──地域や職場での助け合い機能の低下を懸念する声があります。 立ち位置によって異なる見方ができます。例えば、地域の相互扶助機能が低下することで、草の根民主主義が弱くなっているという見方。代表的なのはロバート・パットナムのソーシャル・キャピタル論です。タウンミーティングや相互扶助活動などに象徴されるアメリカの社会関係資本が弱まることで、民主主義も弱くなっているという議論です。この観点で見れば地域の相互扶助活動は民主主義強化のために重要です。 一方、異なる文脈もあります。日本では社会保障費抑制の流れの中で、地域にサービス主体を移行する動きがあります。この観点では、国の社会保障費の抑制のために地域の助け合いが称揚されます。 そもそ