一 国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密とは、非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものをいい、その判定は、司法判断に服する。 二 昭和四六年五月二八日に愛知外務大臣とマイヤー駐日米国大使との間でなされた、いわゆる沖縄返還協定に関する会談の概要が記載された本件一〇三四号電信文案は、国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密にあたる。 三 本件対米請求権問題の財源についてのいわゆる密約は、政府がこれによつて憲法秩序に抵触するとまでいえるような行動をしたものではなく、違法秘密ではない。 四 国家公務員法一一一条にいう同法一〇九条一二号、一〇〇条一項所定の行為の「そそのかし」とは、右一〇九条一二号、一〇〇条一項所定の秘密漏示行為を実行させる目的をもつて、公務員に対し、その行為を実行する決意を新たに生じさせるに足りる慫慂行為をすることを意味する。 五