宇宙探偵ノーグレイ(田中啓文) 【オススメ人:ダ・ヴィンチ・恐山】 現実には起こり得ない状況を前提にしたミステリ作品を「特殊設定もの」などと呼ぶことがあります。たとえば「魔法がある世界」とか「タイムループのある世界」などで、もはや一つのジャンルとして成立しつつあります。 特殊設定とはいえ「なんでもアリ」ではないのが重要。魔法があるからといって「誰も知らないワープ魔法を犯人だけが使えたのです」では興ざめもいいところです。現実離れしているからこそ、意外な結末には論理的な納得感が必要なのでしょう。 『宇宙探偵ノーグレイ』は、5作からなる連作短編集。宇宙を股にかける敏腕探偵「ノーグレイ」が、奇妙な惑星で起こった事件を解決するため奔走します。ただしこの惑星がどれも非常に特殊。 ゴジラのような巨大怪獣ばかりが生息する「怪獣惑星キンゴジ」 住民がウソをつくことのできない「天国惑星パライゾ」 住民の数が必