【出世本懐(1)】 生きるのは大変です。 生きるときの基本となる「衣食住」を確保するには、まず先立つ物はおカネです。 カネがなければ服も買えない、 栄養のあるものが食べられない、 家賃も払えない、 生活には、とにかくカネが必要です。 カネを手に入れようと思ったら、働かなければなりません。 みんなおカネを欲しがり、そのための努力を怠りませんから、 カネを自分のものにしようとするのが、楽でないのは当然です。 そんな辛い思いまでして、そんな恥ずかしい思いをしてまで、と 端から見ていても気の毒になるくらいの中、働いている人もあります。 どうしてそこまでするのか。 「生活のため」です。 芥川龍之介は友人に宛てた遺書の中でこう書いています。 「僕はゆうべ、ある売笑婦と一しょに彼女の賃金(!)の話をし、しみじみ『生きる為に生きている』我々人間の哀れさを感じた」 世間中が 「生きる、それが大事なんだよ」