【無常(3)】 私は20代の頃、アメリカで交通事故に遭うという、ちょっと特殊な経験をしています。 ロサンゼルスの大学のミーティングルームで勉強会があり、 徒歩でその大学に向かう途中、車にはねられました。 信号のない横断歩道で、歩行者である私のために停車してくれた車の前を小走りに通り過ぎたその瞬間、 停車した車の脇から突っ込んできた車にぶつかったのです。 甲高いブレーキ音に反応して、とっさに後ろを向いたので、 ひざ裏がちょうど車体の先端にぶつかって、 体ごとボンネットに乗っかる形になり、 それから一回転して、背中からアスファルトに叩きつけられました。 これは一緒に歩いていたイランの友人が言っていたので、 こうして描写できるのですが、 そのときの私は、景色が一回転したと思ったら、 アスファルトに肩がぶつかった衝撃がドンと来て、 呼吸が困難になり、自分がどうなったのかわかりませんでした。 ただな